私の発症経験
矢野経済研究所、船井総合研究所をはじめ、飲食関係のコンサルティングや市場調査に長く従事。2002年に当時勤務していた外食産業の本部事務所が改装直後のビルであったことに加え、業務拡大により新品のパソコンの導入が増え、発症。
当時は、全く化学物質過敏症の概念がなく、異常な鼻の粘膜乾燥と痛みに大阪では著名な耳鼻咽喉科を受診するものの、当初は急性蓄膿症という診断でした。
程なく慢性蓄膿症になり、そのうち原因不明になって、治療直後でも職場に戻るとすぐに症状が悪化する始末。
とうとう仕事を続けることが困難になり、それからは、おきまりのドクターショッピングです。診察券だけがどんどん増えていきましたが、一向に原因はわからないままでした。
西洋医学に見切りをつけ、信頼のおける中国医学の薬剤師の方に、自己免疫力を高め、自律神経を整えるような漢方処方をして戴き、対処療法的に治療を続けていました。
それでも解毒が追いつかなくなると、寝たきりになったり、日常生活すら困難になりました。反応する化学物質がどんどん増えていく中で、ある日、CS支援センターのHPに辿り着き、自分の症状から〝化学物質過敏症〟であるのではないかと気がつき、専門外来の紹介を受けました。
ようやく診断が付いたのは、2004年8月です。とにかく身の回り品を徹底的に見直し、家族にも協力を仰ぎましたが、見えないものをいくら説明しても理解を得られず、辛い想いをしました。
医師からは快方に向かう過程で必ず一度は症状が悪化するとは聞いていたものの、通院し始めて3ヶ月目には、通院すら困難になり、酸素ボンベが必要なくらいに悪化しました。
もう酸素ボンベに繋がれたまま一生を送るのかと思っていた時に、知人のコスタリカ政府観光省の日本代表から転地療養の勧めを受けました。
10年程前に一度行っていて、国土の25%が国立公園(農薬散布がない)というエコツーリズムの先進国であることや雨期は毎日雨が降り、高地は毎朝深い霧が出て、空気を浄化すること、建物がタイル張りで反応する建材が使われていないこと等を考えると、最高の転地療養先ではないかと考えて、機内にも酸素ボンベを持ち込むことを覚悟で準備を進めました。
成田~ダラス経由サンホセ(中米・コスタリカ)は乗り継ぎも入れて最速でも18時間。5月中旬、訪コされる際に同行、解毒剤を通常の3倍飲んでひたすら耐え続けました。
着いた翌日から、部屋探しをして、半年の転地療養生活。不思議なことに、あれだけしんどかったのが嘘のように、1週間もしないうちにみるみる身体が楽になるのがわかりました。
スペイン語で転地療養はCambiar de aires(空気を換える)。まさに身を持って痛感しました。
近くにオーガニック村があり、留学経験のあるホメオパシー療法医(ハーブ医学)が、帰国後、農薬のリスクを農家に説いて廻り、村として取り組んでいるので、無農薬の野菜・果物も入手が容易なのも大きなメリットでした。翌年、〝カナリアの子供たち〟のDVDを持って、再訪した際に診察を受けました。すでにメキシコやキューバの都市部でCS患者は多数存在していて、私たちが抱えている同様の問題があるようです。私の経験からもこの病気を治すには、やはり徹底した排毒、そして空気と水、食べ物を換える必要があると思います。
私が快方に向かうまでには多くの方の助けがあり、私は非常に恵まれていたと思います。
発症したのは長年飲食関係の仕事に従事した結果、不規則な生活と食事が原因だと気づきました。冬場は時々体調を崩しますが、ほとんど普通の生活が出来るようになりました。
国内、特に西日本は、CS患者の一時避難先にも事欠く事情は今も変わりません。私一人に出来ることは限られていますが、患者さんの社会復帰と健康回復に尽力出来ればと、まずは所有物件の一室を私自身が建材をチェックし、シックハウス対応に改装しました。まだ夢の段階ですが、いずれは「関西にもオーガニック村を」と多方面にもヒアリングを開始。
これ以上発症者を増やさないために、発症者には先に発症した者の務めとして私たちが取り組まないといけない課題はたくさんあると思います。
環境破壊や食品偽装が問題化する中、少し過敏な私たちが安全な食や環境の大切さを訴えていく必要性を痛感しています。我が家ではお米と野菜を無農薬で作っていますが、逆に私がCSであることが安全の証明になって支持されていることに気づきました。
〝見えない障害〟ということもあり、周囲の無理解にも苦しめられましたが、CSであることを受け止め、カミングアウトしてからは、多くの健常者の助けを受けられるようになりました。
今後は、発症者の健康回復、必要な支援や環境が整えば、社会復帰が出来る人に雇用の機会の創出が目標です。
もちろん、まだ発症されていない方も、いつ私のようになるとも限りません。発症しないために必要な知識を身に付け、少しでも安全で健康な生活が送れるよう、このサイトを活用して下さい。